第31回 主寝室 ― 夫婦の寝室 ―

主寝室 ― 夫婦の寝室 ―

「春眠暁を覚えず」の季節です。毎日いい眠りをしていますか?
今回はインテリア設計の視点から、主寝室を考えてみます。

お部屋の寸法

「主寝室なので広い部屋でなければならない」というわけではありません。
4帖半あれば2人が寝ることができます。最低限の部屋のサイズを考えれば、シングルベッド(100cm×200cm)を2台置くとすると部屋の寸法は2m70cm×3m20cmとなり、セミダブルベッド(120cm×200cm)を2台置いても6帖あればたります。後はゆとりをどれ位つくるかになりますが、ベッドルームでゆっくりくつろぐという方はめったにいませんので、そのゆとりは収納にするなどしたいですね。

音について

眠りの妨げになるのは何と言っても音です。パートナーの発する音についてはお医者さんにお任せするとして、主寝室の配置は道路から遠いところに配置するという考え方があります、狭い敷地の中での設計には色々な規制と優先順位がありますので、常に理想通りにとはいきませんが、覚えておくといいでしょう。
また壁に付いている空気穴のようなものをレジスターといいますが、ここから外の音が侵入します。早朝ペットを散歩させている方が多いのですが、ご近所さん同士のおしゃべりが安眠のじゃまになるケースが増えています。レジスターの位置を道路側から離すというちょっとした配慮が必要です。

寝室には布地材を多く使う

モデルルームのベッドルームをたくさん作って来ました。(100棟を超えました)最近は床の仕上げのほとんどがフローリングですが、数年前はカーペットを寝室の床の仕上材として使うケースもありました。
ベッドルームですので寝具は布ですがほかに窓のカーテンがあります。写真のようにベッドヘッドの壁に布を張るというのもいいでしょう。布地は音の反響を吸収してくれます。
たっぷりと布地を使った寝室はそこに入っただけでふんわりと包まれるような感覚が得られます。
「春眠暁を覚えず」なのにますます深い眠りに落ちていきそうですね。

川岸 敦子

プロフィール
川岸 敦子 / 二級建築士

短大卒業後、コンビニエンスストア本部に入社。インテリアの仕事をめざして退社後、町田ひろ子インテリアコーディネーターアカデミー小樽校に入学。インテリア関連の会社を経て1991年に独立。母校にて、コーディネーションの講師を務めながら、戸建住宅、マンション、ホテル等のインテリアデザインの仕事に従事し、1997年インテリアデザイン会社 有限会社ブランを設立。住宅、マンションのモデルルーム、医療関係のインテリア等に携わる2001年 二級建築士を取得。小学3年生の子どもを持つ母親でもある。

イントロダクション
昨年末、事務所の引越しをしました。11年間ため込んだ、物・物・物の数々を整理しながら、次の場所では自分の為に空間を作ろうと決めました。一番最初に考えたのは、仕事をする時の”ここち良さ”。機能性はもちろん、美しさを前提に。インテリアという自分の仕事を見詰め直す、いい機会でした。このコラムでは、皆さんと一緒に”ここち良さ”を考えて行きたいと思います。