第22回 食前酒に最適!イタリア生まれの~APEROL~

食前酒、すなわち「食事の前の一杯」というと、日本では「とりあえずビール!」のイメージがありますが、気の置けない仲間とおしゃべりしながらゆったりとディナーを楽しむヨーロッパでは、とても大切な意味を持っています。今回は、そもそも食前酒とは何か、またイタリアでは定番、日本でも人気上昇中のお勧め銘柄をご紹介いたします。

<食前酒、とは?>

フランス語では食前酒をアペリティフ(Apéritif)と言います。レストランの席についてまず初めにオーダーするものですが、高級レストランなどでは、アペリティフで喉を潤しながら、優雅にメニューを決めることがスマートとされています。一方、イタリアで食前酒といえば、Apritivo(アペリティーボ)のことで、夕食前(18~20時くらい)に、仲間同士と一杯楽しむことを意味します。いずれにせよ、メインの食事を美味しくいただく為の導入のような役割があり、軽くさっぱりした口当たりのものを選ぶのが一般的です。ちなみに、多くの航空会社でも、国際線の長距離路線では食事の前に「アペリティフ」としておつまみと飲み物のサービスをしています。

<APEROL>

食前酒の代表的なものといえば、ジンやウォッカをベースにした軽いカクテル、あるいはキール(カシスベースのカクテル)やミモザ(第1回コラムで紹介)などですが、近頃はイタリア生まれの「アペロール」を使ったカクテルが、イタリア、ドイツを始めとするヨーロッパのみならず、日本でも注目され始めているようです。
特徴は、何と言っても美しいオレンジ色。見ているだけで、食欲がわいてきます。口に含むと、オレンジの甘みとハーブの爽やかさが絶妙にマッチし、清涼感があります。アルコール度数が11%と低めなので、お酒があまり強くない方にも飲みやすいところが嬉しいですね。

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<どのように飲むの?>

シュワシュワした泡と相性が良いので、アペロール1に対してスパークリングワイン、またはソーダやトニックウォーター等を3くらいの割合で割るのがお勧めです。グラスには氷を入れ、お好みでオリーブやレモンを添えるとより美味しくいただけます。柑橘類とも良く合うので、オレンジやグレープフルーツジュースで割ってもフルーティーな味わいが楽しめます。おつまみにはイタリアらしく、トマトのブルスケッタなどを合わせてみてはいかがでしょう?

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食前酒を楽しみながら、ゆったりディナーなんて子育て中は無理!と諦めてしまいがちですが、せめて夕食の準備(味見?!)をしながらアペロールでも飲んで、楽しく夕方のひと時を過ごしたいですね!

松本 裕子

プロフィール
松本 裕子 / ソムリエ、食育インストラクター

国内大手航空会社にて国際線客室乗務員として約10年サービスにあたる。(社)ソムリエ協会認定ソムリエ資格取得。東京の田中伶子クッキングスクールで学び、全国料理学校協会教員資格、及びNPO食育インストラクター資格を取得。海外ステイやオフを利用し、各国のお料理教室(フィレンツェ、バンコク、ホーチミン)やお花、お菓子教室(パリ)に参加。2010年より札幌在住。双子の母。

イントロダクション
ワインは、相性の良い料理と組み合わせることによって、そのどちらも美味しくする相乗作用があるだけでなく、脚の長いグラスに注がれた佇まいが美しく、女性にとても似合うお酒です。小さなお子様をお持ちの方でも、気軽にワインを食卓に取り入れていただける様に「食材やワインは身近なお店で手に入るもの」とし、簡単に「おうちワイン」を楽しむ参考になればと思います。