第8回 あったかメニューをワインと楽しむ

厳しい寒さが続いております。
寒がりで冷え症の私は、何となく外の寒さが体に残っていて活力低下気味に。家でも暖かいものを食べて、エネルギー補給をしたくなります。

そんな時は、牛肉、野菜、赤ワイン一本分をたっぷり加えた煮込み料理を作ってパワーチャージします。家の中でコトコトじっくり煮込むなら、吹雪で外に出られない日にはうってつけです。合わせて飲むワインも、上質な赤を選んでちょっと贅沢に。美味しく食べて、寒い冬を元気に乗り切りましょう。

牛肉の赤ワイン煮といえば、フランス・ブルゴーニュ地方の家庭料理、「ブッフ・ブルギニョン」が有名です。本来は、煮込みに使うワインも合わせて飲むワインも、ブルゴーニュ名産の赤ワイン(代表品種はピノ・ノワール)が使われます。しかし、日本で売られているブルゴーニュ産のワインは、結構なお値段のものが多いようです。家庭で気軽に作る場合は、必ずしもブルゴーニュのワインを使う必要はないと思います。煮込みに使用するものは手頃な価格のワインで十分です。

ワインと料理を合わせるコツは、「色」を合わせることです。この「牛肉の赤ワイン煮」のように、肉もソースも「赤」系の色なら赤ワインが合います。また、料理に使うワインと飲むワインを同じものにするか、ぶどうの品種を合わせると、相性がアップし、より美味しく味わえるでしょう。

お料理<牛肉の赤ワイン煮込み>

<材料>4人分

  • 牛すね肉(もも肉などを混ぜてもよい) 800g
  • じゃがいも 4個
  • にんじん 2本
  • 玉ねぎ 1個
  • トマトの水煮缶 大1缶
    ※ダイス状のものが使いやすい。ホールの場合はつぶす
  • ブロッコリー 1/2株
  • 赤ワイン1本
    ※お手頃価格のチリ産のカベルネ・ソーヴィニョン(赤ぶどうの品種名)を使用。品種は瓶のラベルに明記されています。
  • 薄力粉 適量
  • しょうゆ 大さじ1
  • 塩、こしょう、サラダ油 各適量
  • バター 20g

<作り方>

  1. 牛肉は4cm角に切り、塩、こしょうを振ってもみ込む。小麦粉を付けて余分な粉を落とし、鍋にバター、サラダ油を熱し、焼き色がつくまで強火で焼きつける。
  2. 1の鍋にトマトの水煮1缶(汁ごと)を入れ、その缶で同分量の水(400g)を測り、ロリエ、赤ワイン、塩、こしょうと一緒に鍋に入れて煮立たせる。アクを丁寧に取ってごく弱火にし、ふたをして煮込む。煮汁がひたひたになるように水(分量外)を足しながら約3時間煮込む。
  3. じゃがいもとにんじんは皮をむいて食べやすい大きさに切り、面取りをする。玉ねぎは半分に切って5mm程度の薄切りにする。2の中に、にんじんと玉ねぎを先に加えて後から荷崩れしやすいじゃがいもを入れる。野菜に火が通ったらしょうゆを加え、最後に塩で味を調える。
  4. ゆでたブロッコリーを加え、器に盛り付ける。

※しょうゆが隠し味になっています。しょうゆと赤ワインは、相性の良い組み合わせです。

一緒に合わせたワイン

ROBERT MONDAVI WINERY OAKVILLE
CABERNET SAUVIGNON 2006

(ロバート・モンダヴィ ワイナリー オークヴィル カベルネ・ソーヴィニョン 2006)
原産国:アメリカ・カリフォルニア州 ナパヴァレー

カシス、ブラックベリー、黒コショウなどの香りがし、完熟したプラムやベリー系の豊かな果実味と渋みとのバランスが良く、上品な味わいです。
実はこれ、お土産にいただいたものですが、他にもらった人みんなが、「文句なしに美味しい」と言ったそうですよ。

ロバート・モンダヴィは、カリフォルニア州 ナパヴァレーの有名なワイナリーです。オークヴィルは、ナパの中でも特に、良質のぶどうがとれる地区です。

カベルネ・ソーヴィニョンは、赤ぶどうの代表的な品種で、世界中で栽培されています。代表的な産地はフランス・ボルドー地方、アメリカ・カリフォルニア州、チリ、オーストラリアなどです。様々な成分が複雑に凝縮された重めのタイプがほとんどで、しっかりした味わいの料理や、牛や子羊などの肉料理と良く合います。冷やすとせっかくの香りが閉じてしまうので、16~18度を目安に、常温で飲むのがおすすめです。

松本 裕子

プロフィール
松本 裕子 / ソムリエ、食育インストラクター

国内大手航空会社にて国際線客室乗務員として約10年サービスにあたる。(社)ソムリエ協会認定ソムリエ資格取得。東京の田中伶子クッキングスクールで学び、全国料理学校協会教員資格、及びNPO食育インストラクター資格を取得。海外ステイやオフを利用し、各国のお料理教室(フィレンツェ、バンコク、ホーチミン)やお花、お菓子教室(パリ)に参加。2010年より札幌在住。双子の母。

イントロダクション
ワインは、相性の良い料理と組み合わせることによって、そのどちらも美味しくする相乗作用があるだけでなく、脚の長いグラスに注がれた佇まいが美しく、女性にとても似合うお酒です。小さなお子様をお持ちの方でも、気軽にワインを食卓に取り入れていただける様に「食材やワインは身近なお店で手に入るもの」とし、簡単に「おうちワイン」を楽しむ参考になればと思います。