第13回 後悔しないシステムキッチンの選び方

ファッションにもインテリアにも、小物にも トレンドのスタイル、カラー、があります。
近年システムキッチンのトレンドは、スタイルでは「対面式」キッチン、デザインでは、ブルモーションレールを使った「引き出し収納」スタイル、機能性では「静音」と「ラク家事」がキーワードです。ラク家事の中でもシンプルなお手入れは主婦の一番のニーズです。その点ではとくに人造大理石ワークトップとシンクが一体成形されたフォルムは、デザインが美しいことと、シンクとワークトップの間の溝がない分、黒ずみの汚れがたまることなく、お手入れがラクになるので、人気です。

キッチンは何度も買い替えることができない商品ですから、永く気持ちよく使えるように「自分」にあったキッチンを選ぶことが大事になります。では、「自分」にあったキッチンとはどのようなものなのでしょうか。

その視点は①身長にあわせた高さや動作域を知ること②自分にとっての「機能性」を選ぶこと③住まいの全体をみてカラーや材質を決めることです。さらに システムキッチンは本体に加熱機器、フード、水栓、食洗機、などの機器類の組み合わせなので、ニーズによって機器をセレクトし組み込みます。

今回はこれらののポイントごとに後悔しないキッチン選びの視点をお伝えします。

キッチンで一番優先すべき「高さ」

女性の高身長や反対に加齢に伴う身長の縮みなど身体状況の変化や、キッチンの役割の変化により、既存のシステムキッチンでは低くて作業がしづらい、ご夫婦の身長差でどちらに合わせても使い勝手が悪いなどの不便もよく耳にします。「高さ」は可動できない部分なので、大事なポイントですね。

通常システムキッチンの高さはJIS規格で85センチです。
(身長÷2+5センチ=理想の高さ:身長155センチの場合を想定)

しかしながら、キッチンでの作業はこねる、混ぜる、包む、切るなど作業によって、手とツールの接触する位置(作業点)が変わってきます。簡単に高さを検証する方法としては、まな板に包丁を持ってみて一番楽な手の位置(作業点)からまな板の厚み(約5センチ)を引いた高さが、一番自分にとって適切なシステムキッチンの高さと言えます。

キッチンの高さの1センチの違いは、実際に体感してみると、「こんなにも違うのか!」と驚くほど身体に与える影響は大きいものです。この「1センチ」にこだわり1センチ刻みにキッチンの高さを選べるキッチンがあります。Housetec(ハウステック社)のキッチンです。 差額も発生しません。

1センチ刻みで高さを選べるのは こちらのメーカーだけです。

奥まで引き出せる引き出し収納

今は奥まで(55センチ~)引き出せる引き出し収納タイプが主流です。奥まで見ることができ取り出せる反面、このスタイルの場合は背面に十分な通路幅が確保できることがポイントです。さらに空間が遊ばないように引き出しの高さの検証も大事です。

前述のHousetec(ハウステック社)のキッチンでは引き出しの中の棚が収納物の高さに合わせて可動でき、(どこでもパレット)また一升瓶を立てられる縦型のポケット(ボトルスポット)もあります。

静音・ラク家事機能の機器類

キッチンのスタイルのトレンドが対面式になってきたことは、キッチンが家の中心に位置するようになったことを意味します。その分、水の音や換気の音、料理による臭いなどが家の中に反響してしまうリスクもあるので、五感にもやさしい機器類が求められます。特に「音」「におい」は空間を心地よく保つためにはとても気を使わねばなりません。ひとつ一つのご紹介はここでは割愛しますが、それぞれの静音対応の機器類をセレクトし組み込むと良いと思います。

特にクリナップ社のシンクは、先ほど述べた「静音」とお手入れのポイントを兼ね備えたおススメのシンクです。「サイレントシンク」は水はねの音が響きにくく、さらに「流レールシンク」により、水を流すだけでゴミが排水皿に集まる仕組みで、シンクにちらかった生ゴミなどをかき集めるストレスが軽減されます。

また「美コートシンク」は水になじみやすい親水性のセラミックコーティングですので、汚れを浮かし油汚れも水拭きでOK 、傷も目立ちにくくお手入れが楽ですので鍋などの洗い物にはおススメシンクです。

扉の材質とカラー

各メーカーのシステムキッチンには プレミアム機種とハイグレードタイプのスーパープレミアム機種があります。さらにその中で 選べる本体色のカラー数も異なります。
(スーパープレミアムシリーズの場合:A社26色・B社14色・C社13色・D社19色)

また扉の材質やグレードによって同じ間口の同じスタイルでも金額が異なってきます。キッチンの扉カラーは部屋のアクセントカラーになるので、好みだけではなくキッチンの位置やリビングとのつなぎ方、照明計画、床や壁、天井とのバランスなど全体を見て、選ぶことがポイントです。

後悔しないキッチン選びの視点3つ

今回は特に特徴のあるメーカーの紹介にとどまり、すべてのメーカーをご紹介できませんでしたが、各メーカーにはそれぞれのイチオシポイントがあります。自分のニーズにあったシステムキッチンを検証し、見つけてみてください。

デザインがスタイリッシュで機能的だからといって、実際の使い勝手や生活実感は比例するものでもありません。トレンドやデザインだけでなく自分の身体状況をよく理解し、空間の中で捉え キッチンを選ぶことが後悔しない大事なポイントです。

阿部 美子

プロフィール
阿部 美子 / キッチンスペシャリスト

専業主婦を経て二人の子どもを一人で育てながら 水廻りメーカーのアドバイザーとして約10年、従事。「キッチン」の奥深さと魅力に惹かれ、キッチンスペシャリスト資格、(社) 日本ライフスタイル協会北海道唯一のリビングスタイリスト講師、CS(顧客満足クレーム対応)スペシャリスト 日本実務能力開発協会認定コーチの資格取得。(社) 日本デザイン学会 鈴木 昇氏に師事。「Happyキッチン講座」「リビングスタイリスト講座」「キッチンお悩み相談室」を随時開催。「お悩み解決!ココロもスッキリ!快適なキッチンから始まる楽しい暮らし、家族の笑顔を応援します」をコンセプトに始業。ララプラスキッチン代表。

イントロダクション
毎日つかうキッチン空間だからこそ気持ちよく心地よい空間でありたい。おかあさんのニコニコした顔から家族の安心が生まれます。おかあさんがいつもルンルン♪お料理をつくってルンルン♪おかたづけができる、そんな暮らしのヒントを女性のミカタ(味方&見方)で お伝えします。→Blog「キッチンアドバイザーのミセスのミカタ」