第5回 照明の効果 Part.2

前回のコラムでは全体照明と部分照明についてお話しさせていただきました。
今回はお部屋ごとの照明についてです。

リビングルーム

リビングの照明は、最も変化に富み、色々な方法が楽しめる場所です。
家族が集まり、楽しい時間を過ごす場所であり、ゆっくりリラックスしたい場所でもあり、映画や音楽を楽しむ場所でありと時間によって様々な明かりがあったらステキですね。
リビングの照明には、まずは明るい全体照明が必要です。全体照明は蛍光灯でも白熱灯でもLEDでも好きな光源を選んでかまいません。
前回の話と重複しますが、蛍光灯は省電力で明るいランプなのですが、同じ明るさの白熱ランプの約三分の1の電力で、寿命も3倍強と長持ちです。
しかし家庭の全消費電力の照明が占める割合はごくわずか。消費電力だけでいえばLEDの方がはるかに経済的なんです。蛍光ランプは1回の点滅で30分~1時間寿命が短くなるといわれています。その点白熱ランプは点滅が寿命に影響しません。

ほかの部屋とは違い、暗くなってから寝るまで照明が付いている事の多いリビングは、ランプに蛍光灯を選んでもいいのではないかと思います。でもそれだけになってしまうのは残念。蛍光灯は隅々まで照らし出し、影を作りにくい照明だからです。リラックスしたい方には間接照明で壁面や天井に照明をあてたり、テーブルランプやフロアランプなど白熱灯との併用がオススメ。
やはり人をくつろいだ気分にさせるのはロウソクの明かりで、それに一番近いのが白熱のランプだからです。
リビング全体をダウンライトで構成するのも一つの方法です。その際は調光器を使ったり、スイッチを2つ位のグループに分けたりして明るさに変化をつけるようにした方がいいですね。ダウンライトは天井面が暗くなります、部屋のコーナーにアッパーライトなどを置いて天井面を照らすのもいいでしょう。

ダイニングルーム

ダイニングテーブルの上は蛍光灯よりも演色性の良い白熱灯が良いでしょう。最近流行の吊り下げるタイプのペンダント照明のランプは、ダイクロハロゲンや白熱灯でデザインも様々なものがたくさんあります。小さなペンダント照明を2~3個取付ける方法が多くなっていますが、テーブルのサイズが以前に比べ180cm~200cmと大きくなっているせいだと思います。小ぶりのペンダント照明が各メーカーからたくさん出ていて選ぶのが楽しい場所です。ペンダント照明で気をつけなければならないのはカサ(シェード)。カサの部分が金属製で上部に光が行かない場合があります。テーブルの上は明るいのに、天井が暗~い!なんていう問題も。

テーブルのサイズが決まらない方は、ライティングレールを使っておけば照明をあとで追加したり位置を変えたりできて便利ですよ!テーブルの置き場所が決められない時はペンダント照明はやめておきましょう。そんな時は天井照明にして照明とテーブルが干渉しないようにするのもひとつの手。テーブルの上は100Wくらいの照度で十分ですが住宅のダイニングとしてはムードがありすぎです。補助としてフロアスタンドやダウンライトでテーブルの周りにも気を使って下さい。2回目のコラムでお話ししたようにダイニングテーブルは食事の他にも色々な用途がある場所です。

次回も玄関や洗面所などお部屋ごとの照明についてお話したいと思います。

川岸 敦子

プロフィール
川岸 敦子 / 二級建築士

短大卒業後、コンビニエンスストア本部に入社。インテリアの仕事をめざして退社後、町田ひろ子インテリアコーディネーターアカデミー小樽校に入学。インテリア関連の会社を経て1991年に独立。母校にて、コーディネーションの講師を務めながら、戸建住宅、マンション、ホテル等のインテリアデザインの仕事に従事し、1997年インテリアデザイン会社 有限会社ブランを設立。住宅、マンションのモデルルーム、医療関係のインテリア等に携わる2001年 二級建築士を取得。小学3年生の子どもを持つ母親でもある。

イントロダクション
昨年末、事務所の引越しをしました。11年間ため込んだ、物・物・物の数々を整理しながら、次の場所では自分の為に空間を作ろうと決めました。一番最初に考えたのは、仕事をする時の”ここち良さ”。機能性はもちろん、美しさを前提に。インテリアという自分の仕事を見詰め直す、いい機会でした。このコラムでは、皆さんと一緒に”ここち良さ”を考えて行きたいと思います。