第3回 いくら貯める?自己資金のウソ・ホント

「家が欲しいと考えはじめ、本屋さんで色々な本を読んでいたら”自己資金は、予算の20%~30%をためるのが理想的”と書いてありました。うちは年収450万円ですが、予算的には3000万円以下に抑えたいと思っています。でも、予算3000万円の20%って600万円ですよね?本当にそこまで自己資金は必要ですか?」

このコラムをご覧になったあるお母さんからご質問をいただきました。今回は、住宅を購入する際の自己資金にまつわるウソ・ホントについて検証してみましょう!!

相談者 Aさん(ご主人30歳、奥様30歳、お子さん0歳)
現在のお住まい:賃貸住宅に毎月7万円支払い
年収 450万円(ボーナス含む)
現在貯金残高 100万円
今後の貯金 毎月2万、2回のボーナス合計で20万なら貯金に回せそう。
住宅予算 3000万円で検討中

検証1:頭金600万円の貯まるまでの道のりはどうか。

このご家庭の貯金額の年額は2万×12ヶ月+ボーナス20万=44万
100万円今持っているので不足分の500万を貯めるとすると約11年半かかります。11年というと0歳だったお子さんは小学校5年生。そこで買うとすると、土地の選定が難しくなります。

「今の地域に住みたい!」そう願うお母さんは、葛藤するに違いありません。転校したくない。慣れ親しんだママ友をキープしたい。会社に行きやすい。この欲求を満たすためには土地優先に考えたいけども、土地はなかなか見つからない。いいなと思えば、値段が高いケースがほとんどで、予算のほとんどが土地に取られ、家自体にコストをかけられない・・・。まさに妥協、妥協の家作り。品質だって選べない・・・。という可能性が高くなってしまいます。
他の地域に移るにしても学区の心配、転校生でいじめられないか、ママも一からの人間関係構築に重圧を感じられる方も多いようです。そして、11年という歳月を経る前に、お金事情は子どもの成長と共に、どんどん変わっていくのです。

たとえば、

支出予測1 幼稚園入園:貯金開始から3年後、幼稚園入園のため約月2万の支出が発生。
支出予測2 子どもの習い事:プールやピアノなど(お友達がみーんな行ってるので)習わせたい。
習い事にもよりますが、支出は習い事1つにつき毎月6000円程度がプラス。
支出予測3 成長に伴う子どもグッズ:ボーナスに忍び寄る影に「自転車」「学習机」「ランドセル」など。

このように、0歳時点の支出のイメージだけだと多分、500万に届くにはもう15年はかかる…ということになってしまいます。15年後、お子さんは高校生に。子供が小さくて楽しい時期は通り越しちゃって、家に対するモチベーションも色あせてしまいそうです。子どもが大きくなるということは、自分も歳を重ねるということで、ご相談の方の年齢も45歳。ローンの金額にもよりますが40代の住宅購入は残りの収入の時間を考えるとローンに対する恐怖感も大きくなられる方も多いようです。

次回は、この方がもしすぐに家を購入した場合を検証していきます。

壽原 博信

プロフィール
壽原博信 / ファイナンシャルプランナー

FP技能士2級(国家資格)、トータル・ライフコンサルタント(生命保険協会認定FP)、損害保険販売資格者、住宅ローンアドバイザーの資格取得。株式会社ソニックで、マネープラン、ライフプラン作成、住宅ローンアドバイスとサポート、学資金や引退後資産形成とサポート、生損保ほぼ全社の保険の比較販売のかかりつけ対応をしている。豊富な知識と物腰の柔らかさは幅広い年代から多くの支持受けている。

イントロダクション
妻と妻のお母さんと子ども二人(男の子)のパパ。39歳。ファイナンシャルプランナーとして、保険、住宅ローン、各金融商品、税務、社会保障、法律、不動産等の幅広い知識を訓練。”生活の経済的な安定のお手伝い”をモットーに活動を続けている。