第33回 寄せ植えの配色②


前回、寄せ植えの配色についてのお話をしました。
空間を調和させるのに一番簡単なのは、色の数を極力少なくすることです。ファッションでいえば、モノトーンでまとめるような『間違いない』配色ができるでしょう。色数が増えれば増えるほど、空間の統一感を出すのは難しくなるものです。今回は、たくさんの花で寄せ植えを楽しむ上で、おさえておくとよいポイントのお話です。

近景と遠景

木の隆起がわかるほどの距離で見ると、山は『葉っぱの色』をしています。
では、木の形がわからないほど遠くに見える山は、どんな色に見えるでしょうか?これは『葉っぱの色よりも青みのある色』に見えるはずです。比較した場合、近いものはより黄色みを帯び、遠いものはより青みを帯びて見えます。葉っぱの色にも、黄みがかった明るい色もあれば、緑、少し青みがかったものもあります。寄せ植えに、たくさんの種類の花を配置する時は、手前に明るく黄みがかった葉のものを置くようにすると、自然で立体感のある配色ができあがります。
前回お話した、花の色の『進出色』『後退色』と組み合わせて、配置の際の参考にしてみてください。 

コンセプトを決める

鉢の中を、どんな雰囲気の空間にしたいのか?ファッションやインテリアと同じですが、コンセプトさえ決まれば、あとは雑念を取り払ってアイテムをそろえるだけです。

「私は、この寄せ植えを『大人かわいい』感じにする!」
「私は、この寄せ植えを『元気の出る明るい』感じにする!」

この強い意志が大切です。
あれもかわいい、これも素敵。そんな迷いは大敵。びしっとコンセプトを決定したら、お花選びはストイックに行いましょう。それぞれのイメージにオススメなカラーをご紹介します。

イメージ語とカラー

●明るい、元気、カジュアル、賑やかな
 →オレンジ、オレンジみの黄色、朱色(NGカラー→青紫)

●エレガント、上品、優美な、女性らしい
 →スモーキーなピンク、紫、白(NGカラー→オレンジ)

●シック、ノーブル、清楚、すっきりした
 →青、青紫、白(NGカラー→オレンジ)

紫はカジュアルな空間に似合わず、オレンジはエレガント、シックな空間に馴染みません。
補色でメリハリをつけたい時は、寒色系に対して「レモン色のような黄色」をあわせるとよいでしょう。小ぶりなお花か、花の一部程度がオススメです。オレンジのある空間に紫を入れたい時は、やや赤紫よりの紫を選ぶか、パンジーのようにお花の一部に入っているものがよいでしょう。

『大人かわいい』イメージでしたら、スモーキーなピンクのバリエーションをメインに、紫や白をプラスしてみましょう。もう少しシックなイメージが好みであれば、青や紫の寒色系をメインにして、白をプラスするとよいです。

『元気の出る明るい』イメージでしたら、オレンジや黄色を積極的に使うことで、理想のイメージに近づきます。 

まとめ

お庭の使い方にも個性が出ますが、寄せ植え、という小さな空間をどう演出するか、というのもなかなかに「作り手の個性」が出るもの。ストイックさのにじみ出るシンプルなものもあれば、その時々で気に入った花をうめていくノースタイル派や、ボリューム満点のタイプも。配置も理論派や感性派、と、文字通り十人十色です。あなたは、どんな寄せ植えにしたいですか?来シーズンの参考になれば幸いです。

アズマ レイコ

プロフィール
アズマ レイコ / カラーコーディネーター

2003年に函館でカラーサロンをオープン。パーソナルカラー・パーソナルスタイル診断の他、色彩心理のセミナー、講座を開講。結婚後の転勤で、2007年から札幌での活動を始める。『HappyColorLife』主催。AFT1級カラーコーディネーター。2児の母。

イントロダクション
色彩の知識を、楽しく!わかりやすく!使える形で!お伝えすることをモットーにカラーコーディネーターとして活動しています。色彩は生活に密着した、生活を彩る要素です。このコラムでは、生活に役立つ色彩のマメ知識をお届けできればと思っています。楽しく賢く色彩のパワーを利用してみましょう!