第9回 結露に悩む季節、適切な対策で快適な住まいを


冬になると、窓やサッシ、ガラスにびっしりと付く水滴、『結露』。
カビ等の発生によってアレルギーを引き起こしたり、壁の中で結露を起こすと家の腐食・劣化の原因になったりします。

結露の原因

窓やサッシ、壁などに水滴を付ける結露。その主な原因は2つあります。
1つ目は室内と屋外の温度差が大きいこと。
2つ目は室内の湿度が高いことです。
結露ができるメカニズムは、冬の間、暖房によって家の中はぽかぽかに暖められます。北海道の場合、窓を閉め切ることも多いため、人が生活して発生する湿気もこもってしまいがち。
そんな室内の暖かく湿気の多い空気が、窓から伝わってくる冬の冷たい外気に冷やされて窓や壁に発生するのが結露です。

結露によって起こるトラブル

結露をそのまま放置していると、さまざまなトラブルに発展します。
もっとも起こりやすいトラブルがカビの発生です。
サッシ枠の色が白ではなく黒や茶色だと、カビが発生していることに気付きにくいですが、カビは放置しているとどんどん成長します。
カビはアレルギーの原因になるほか、肺炎を引き起こす原因にもなるなど、とても危険なものです。家族の健康を守るために、早めに除去する必要があります。

また、結露が原因でナミダダケという腐朽菌が発生し、新築3年目の住宅の床が腐り落ちるという事件も過去に起こっており、たかが水滴と侮ってはいけません。
(右写真2枚:実際にホームインスペクション(住宅診断)の現場で見られた窓サッシのカビと、床下のナミダダケ)

結露対策

結露が発生してから掃除をするのは大変なので、できれば結露が起こらないように対策をするのがおすすめです。
できるだけ室内と屋外の温度差を少なくし、室内の湿度を下げれば結露の発生を抑えることができますが、外気温がマイナスになる北海道では室内外の気温差が30℃を超える場合もありますので、温度差をなくすことはなかなか難しいかもしれません。
そこでご家庭でもできる結露対策をご紹介します。

●換気
結露対策としては、一番簡単な方法です。
結露の原因となる湿気(湿度)を減らすために、換気扇を有効に活用しましょう。特に調理中や入浴中、洗濯物を室内干ししている時など湿気が発生しやすい状態のときには、必ず換気扇を動かすようにしましょう。
また、植物も呼吸しているので、置く場所は窓から離し、数も減らすようにしましょう。

●除湿
除湿機や除湿剤を使って部屋の湿気を吸い取ります。押し入れなど狭いところには除湿剤を、部屋全体には除湿機を使うと良いでしょう。
ただし、人が生活するうえで、ある程度の湿度は必要です。
乾燥しすぎると、風邪をひきやすくなったり等、健康面に影響がでる場合があります。

●断熱
家の断熱対策をすることで、外の冷たい空気が家の中に入りにくくなり、結露を防ぐことができます。一重窓で窓付近がいつも寒いという方は、二重窓や断熱性の高い窓(樹脂サッシ+複層ガラス)にリフォームをすると結露を大幅に防ぐことができます。
賃貸物件に住んでいてリフォームは難しいというときは、断熱シートを窓に貼るという方法があります。

●室温
寒い冬は暖房で部屋の中をぽかぽかに暖めたくなりますよね。しかし、室温を上げすぎると結露の原因になってしまいます。暖めすぎには注意しましょう。

●暖房器具の種類
暖房器具には開放式と密閉式(FF式)の2種類があります。
開放式と呼ばれる暖房器具には、石油ストーブ・石油ファンヒーター等があります(煙突や排気筒がないポータブル石油ストーブ等)。
これらの暖房は燃焼の際に大量の水蒸気を発生させるため、部屋を暖めるたびに部屋の湿度が上がります。
結露を減らすためには、密閉式(FF式)や電気ストーブなどの水蒸気の出ない暖房機器などを使用するようにしましょう。

正しい結露対策で、快適な冬の暮らしを

結露を減らすにはまず、適切な温度と湿度、そして適度な換気が必要です。暖房だけなど1つの原因をコントロールしても、実は結露の対策としては不十分なのです。
今回紹介した結露対策の方法を参考に、ぜひご家庭で試してみてください。

大林 厚志

プロフィール
大林 厚志 / 一級建築士・一級建築士施工管理技士

株式会社北工房執行役員、一級建築士。現場監督経験後、設計事務所にて住宅・商業施設等の設計・監理業務に携わる。現在はホームインスペクター(住宅診断士)や住宅性能評価員としても活躍。住宅関連セミナー・建築士資格試験予備校等、講師経験多数。

イントロダクション
「家」は生活に欠くことができません。家庭環境、転勤、資産や目標など「家」を求める理由は人それぞれですが、誰もが幸せになりたいという夢をお持ちです。北海道の建築に携わって30年。新築設計だけでなく、ご自宅のトラブルなども含め、さまざまな「家」に関わるご相談を承ってきました。そんな私たちだからこそお伝えできる「幸せになるための家づくり」とは。