第7回 「パワー・タイ」の使い方

パワー・タイ

つい先日、選挙戦が行われ、テレビには連日ネクタイをした政治家の方々が映っていました。お気づきの方も多いかもしれませんが、「赤いネクタイ」の多いこと多いこと。

赤いネクタイは、「パワー・タイ」とも呼ばれており、「力強さ」「説得力」をアピールするアイテムとして広く知られています。選挙のポスターなどでも、赤いネクタイをされている方はとても多いです。

視覚情報としてのカラー

見られる、見せる立場としてネクタイのカラーを選ぶにあたっては「何を伝えたいか」という部分が一番大事です。

「営業の方はオレンジのネクタイがいい」というような、マニュアル的なアドバイスも耳にすることがありますが、その方が自分のアピールポイントを「快活さ」と思っているならば間違いではないかもしれませんが、「誠実さ」をアピールポイントとしているならば、オレンジのネクタイは必ずしも正解では無いわけです。
また、差別化をはかりたいという場合「みんながオレンジ」という状態だったとして、オレンジを使うことが果たして正解なのか、ということも考えなくてはいけません。

客観性のあるセレクトを!

ネクタイの色で、選挙戦に勝てる、ということは無いと思います。
ただ、全ての人が、候補者全員の言葉をしっかりと記憶するほど耳を傾けているわけではありません。

少なくとも、「どんなことを伝えようとしている人なのか」という点についてだけは、ネクタイの選び方で伝わる部分もあるのではないかと思います。

討論番組などで、同じ画面に3人も赤いネクタイの方が映ってしまうと、パワーをアピールするというよりも、杓子定規な、没個性な印象を与えてしまうということも、「赤いネクタイ」の効果が広く知られてきた今、考えるべきでしょう。

選挙に限らず、ビジネスにせよふだんのファッションにせよ、マニュアルに縛られず、客観性のあるセレクトを心がけたいものです。

今回はネクタイのお話しでした。
日本は高い識字率の影響で、カラーなどのビジュアルに関する戦略に無頓着だと言われています。
ふだんのファッションでも、「細く見えるから黒」「若く見えるからピンク」と、マニュアルに捕らわれず、御自身の魅力や美しさの種類を理解した上でカラーを選ぶ、客観的な視点も大事かもしれません。

アズマ レイコ

プロフィール
アズマ レイコ / カラーコーディネーター

2003年に函館でカラーサロンをオープン。パーソナルカラー・パーソナルスタイル診断の他、色彩心理のセミナー、講座を開講。結婚後の転勤で、2007年から札幌での活動を始める。『HappyColorLife』主催。AFT1級カラーコーディネーター。2児の母。

イントロダクション
色彩の知識を、楽しく!わかりやすく!使える形で!お伝えすることをモットーにカラーコーディネーターとして活動しています。色彩は生活に密着した、生活を彩る要素です。このコラムでは、生活に役立つ色彩のマメ知識をお届けできればと思っています。楽しく賢く色彩のパワーを利用してみましょう!