第6回 急ぐべき?消費税増税に備えて

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消費税増税の影響は?

現行5%の消費税が,平成26年4月1日から8%,平成27年10月1日からは10%に段階的に増税されることが決まりました。
家計に日常的には少なからぬ影響が出ることはもちろんですが,住宅購入やリフォームなどを検討されている方にとっては,もとになる価格が価格だけに増税前に何とかしようと考えている方も多いのではないでしょうか。3000万円の建物を購入した場合,5%であれば150万円だった消費税が,8%になると240万円になる計算なので,単純に計算してもその差は90万円。90万円もあれば,憧れの家具を手に入れることもできそうです。

いつまでに何をすればいいの?

平成26年4月1日から8%に増税になるということは,原則として,平成26年3月31日までに契約・引渡し・代金決済などを完了しておかなければ,8%の税率が適用されることになります。ただ,例外として,注文住宅やリフォームの場合には,平成25年9月30日までに注文住宅工事やリフォーム工事の請負契約を結んでいれば,完成引渡しが平成26年4月1日以降になっても5%の税率が適用されるという経過措置がとられています。
また,居住用の中古住宅を個人から購入する場合には,もともと消費税が非課税なので増税の影響を受けません。ただ,この場合であっても,不動産仲介業者に仲介手数料を支払わなければならない場合には,平成26年4月1日以降の契約には仲介手数料にかかる消費税が増税となりますし,また,売主が不動産業者などの法人である場合には消費税課税対象なので建物売買代金にかかる消費税が増税となります。 

本当に急ぐべきなの?!

そうだとすれば,急いで契約をした方がお得なのでしょうか。
以前,消費税が3%から5%に増税されたときには増税直前の駆け込み契約が多数見受けられました。今回もそのような駆け込み契約が予想されますが,現在は,東北地方の復興等の影響で人手不足のために請負手数料が高止まりになっており,消費税の面では急いで契約した方が有利だとしても,契約代金自体は決して有利とはいえない可能性があります。また,そのような状況においては,手抜き工事などのずさんな工事を行う業者がいないとも限りません。のみならず,これまでの住宅ローン減税も今後は拡大されるなど,減税措置も変更になります。
このようなメリットとデメリットを踏まえ,慎重に検討する必要があるでしょう。住宅購入ということになれば,一生に一度の買い物でしょうから,後悔しないように色々検討して納得のいく「お城」を手に入れたいですね。

林 眞紀世

プロフィール
林 眞紀世 / 弁護士

札幌弁護士会に所属する弁護士。民間航空会社勤務を経て、平成15年から弁護士に登録。平成18年10月からはパークフロント法律事務所を開業。当時は、北海道初の女性弁護士2人の共同法律事務所だったことが話題に。一般の方から企業まで、幅広く一般民事、企業経営に関する事件、親族間の事件などに取り組んでいる。

イントロダクション
法律は難しいとか、法律事務所は敷居が高いなどとよく言われますが、「難しいこともできるだけわかり易く」をモットーに日々取り組んでいます。このコラムでは、住宅や不動産などにまつわる法律問題にわかりやすく触れていきたいと思います。