第12回 意外と見落としがちな家電配置のポイント

20150119_01キッチン空間の中で収納スペースを考えるときに、家電の置き場所も大事なポイントです。手持ちの家電はどのくらいありますか。
炊飯器・電子レンジ・オーブントースター・冷蔵庫、最低これだけはご家庭にありますね。電気ポット・ホットプレート・パン焼き機・ジューサー・ハンドミキサー・食洗機等、今やキッチンで必要な家電は便利な分だけ増えています。しかし、キッチン空間は限られていますから、本当に自分の生活に必要な物かどうかの選択とその使用頻度によって収納場所を考えなければなりません。そのときに見落としがちなのが「コンセントの位置と数」と「収納高さ」です。

20150119_02家電の使用頻度と高さ

生活の中で一番使用頻度の多い家電は何でしょう。炊飯器はほぼ毎日使います。電子レンジもしかりです。自分が作業するときに、一番身体的に負担が少ない高さで、使用できる事が快適にキッチン空間を使うコツです。

では、身体的に負担が少ない高さとは どのくらいの高さなのでしょうか。
起立した状態で、身長×0.4の高さが負担なく物がとれる高さの下限身長×0.8の高さが上限です。身長×0.4の下限高さは、洗面台の高さとほぼ同じ身長×0.8の高さは肩峰高といい、肩の高さです。
この空間の中にいつも使う家電の配置が収まると、かがんだり背伸びをしたりしなくてもしっかり目でみて家電を安全に使う事ができます。

ただし、ここで 見落としがちな点は炊飯器のふたをあけてからの釜の高さまでよく考えておく事です。
ふたの厚みや形状が機種やメーカーによって異なりますから、ふたをあけて実際に茶碗に盛るときの作業点が高すぎたり低すぎたりしないか、つまり、お米を炊くときに釜のセットをする作業にも影響します。

よく家電収納キャビネットに炊飯時の水蒸気があたらぬように、上部に蒸気排出ユニット付きでスライド式になったものが多くあります。床面からスライドテーブル下面まで45センチ~50センチ以内で、炊飯器の高さ30センチ以内を加えても、ふたをあけて釜の作業面の高さを考えると少しかがまなくてはなりません。

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電子レンジもオーブントースターも同じように、扉の開閉時の高さが自分の腕の届く範囲で無理なく動作できる高さにあるか、を考えて配置する事がポイントです。
毎日使うものほど収納場所のみならずその作業高さが非常に大事になります。長くキッチンを快適に使うためには、身体的負担の軽減はあなどれません。実際に「高さ」に視点をおいたプランニングで、5年以上経過した現在も年齢は重ねても、腰の負担なくお使いになっているお客様がいらっしゃいます。

コンセントの位置と数

家電の配置と高さが決まったら、忘れてはならないのはコンセントの位置とその数です。
キッチンスタイルやキッチンのデザインに気持ちがいっぱいになり、完成してからいざ、家電を配置したものの、コンセントが遠く、延長コードをはわせなければ、ならない、あるいはたこ足のように電源をとらねばならない、という事例はあります。

背面の家電収納カウンターの壁面やキッチン本体の壁面 オープンキッチンの場合でもキャビネットの側面などにもコンセントをつけると作業がしやすくなります。
ハンドミキサーやフードプロセッサーやジューサーなどキッチン本体の調理スペースでの作業のときに 電源がとりやすいことが安全性にもつながります。

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そのためにはやはり、頻度の高い家電を選択し適正な高さと位置を決めておく事が大事です。
そして、もうひとつ、電気容量の計算も忘れがちです。どのくらいの電気容量が必要なのか、同じタイミングで複数家電を使用したらブレーカーがおちた!なんてことにならないように、家電にみあった電気アンペアの契約を見直すこともポイントです。

ライフステージの変化と家電の見直し

毎日の生活の繰り返しでは気がつかないけれど、1年区切りのスパンで見直すと、年齢とともにライフステージも変化し家族の生活も変化しているものです。食生活や時間の使いかたにも変化が必ずあります。家族にとってキッチン空間にも変化が求められます。そして家電の使い方もまた、変わっているはずです。見落としがちなポイントをしっかりつかみながら、キッチンを安全に快適な空間に創造してください。

阿部 美子

プロフィール
阿部 美子 / キッチンスペシャリスト

専業主婦を経て二人の子どもを一人で育てながら 水廻りメーカーのアドバイザーとして約10年、従事。「キッチン」の奥深さと魅力に惹かれ、キッチンスペシャリスト資格、(社) 日本ライフスタイル協会北海道唯一のリビングスタイリスト講師、CS(顧客満足クレーム対応)スペシャリスト 日本実務能力開発協会認定コーチの資格取得。(社) 日本デザイン学会 鈴木 昇氏に師事。「Happyキッチン講座」「リビングスタイリスト講座」「キッチンお悩み相談室」を随時開催。「お悩み解決!ココロもスッキリ!快適なキッチンから始まる楽しい暮らし、家族の笑顔を応援します」をコンセプトに始業。ララプラスキッチン代表。

イントロダクション
毎日つかうキッチン空間だからこそ気持ちよく心地よい空間でありたい。おかあさんのニコニコした顔から家族の安心が生まれます。おかあさんがいつもルンルン♪お料理をつくってルンルン♪おかたづけができる、そんな暮らしのヒントを女性のミカタ(味方&見方)で お伝えします。→Blog「キッチンアドバイザーのミセスのミカタ」